テレビがあったら
引っ越したばっかの時。
朝ちょい早めぐらいの時間にインターホンが鳴った。誰だろう?と思ってドアホンの映像を見ると「NHKでーす」と言っている。受信料の集金だ。
引越しでまぁまぁ貯めていたお金も一気に使ってしまい、生活に必要な最低限の洗濯機や冷蔵庫しか揃えていなかったからテレビはなく受信料を払う必要は無い。
何回も来られるのめんどくさいから居留守しないで「テレビ無いんで」とか直接言ったほうがいいかな?とか考えていたら一緒にドアホンを見つめていたルームメイトの岳ちゃんが驚きの行動に出る。「行くわ。」と岳ちゃんはドアホンの通話ボタンを押しニセ中国語をひたすらにドアホンのマイク越しにしゃべるのだ。するとNHKの人は諦めた感じの声で「また来まーす」と去って行った。
1年の時、空きコマの時間に僕が日本語で岳ちゃんに話しかけて岳ちゃんは僕にニセ中国語で話しかけてるのに会話が通じてるように見せ、それで大学から駅までの商店街を往復して歩いてる人を驚かせるという遊びをしてたのを思い出した。
直接聞かないと分からないかもしれないが岳ちゃんのニセ中国語は本当に上手い。
その時は「こんな才能マジで使えねぇな」と笑っていたが、こんなところで役に立つとは。
ポストを開けるとこんな紙が入っていた。
What is NHK?
D組
暇すぎてこの前卒業アルバムの友達の顔見てその人との出来事を思い出すみたいなことしてたら柳田さんという女の子を見つけた。この子となんか話したこととかあったっけ?と思い出していると1度だけ前後の席になったのを思い出した。
休み時間に友達とおっぱいは巨乳がいいか貧乳がいいかという大討論をしていた。高校生だからそんなくだらないお題でもバチバチに言葉は交わされる。友達は絶対に巨乳が良いと言うのに対し僕は控えめな方も良いと思うけどなっていうのを10分ずっと繰り返していた。休み時間の終わりを伝えるチャイムが鳴り、席に着くと後ろの席の柳田さんが背中をトントンとつついてきた。振り向くと柳田さんは「小さいおっぱいで許してくれるなんてかわぼんくんは優しいんだね。」と言ってきた。ほとんど1度も話したことなかったし、まじめな雰囲気の人だったからそんな人が「おっぱい」という単語を発したのにびっくりした。その時の僕は休み時間中の大討論を全部聞かれてたのかと思うとすごく恥ずかしくなってしまって「まぁね。」と言ってすぐさま前を向いて机に向かった。
よくよく考えてみたらあのセリフめちゃくちゃエロくないか?あと「まぁね。」って返しキモすぎる。なんて返すのが正解だったんだろ?ていうか「許してくれるなんて」って言うってことは男子は全員巨乳好きだと思ってるってことなのか。それに巨乳好きの人が優しくないわけじゃないぞ。
元気にしてるかなぁ。柳田さん。
STAY HOME
もう4日はスーパー行く以外で外に出ていないから気が狂いそうだ。おばあちゃん家で宅浪してた時を思い出してしまう。
毎日勉強する計画だけ立ててなんか外ほっつき歩いてたな。
ナイツの解散ドッキリの動画何回も観てそのたび泣いてたな。
2週間ぐらい一言も発さない時とかあったな。
なんか7月くらいに一生このままだったらどうするかみたいなことずっと考えてたな。
生活リズムなんてものは無かったな。
夜中によくコンビニで唐揚げ棒買ってたな。
近所のセブンの店員の女の子に恋してたな。
誰とも会わないからめちゃめちゃ髪伸びてたな。
1番最初は坊主にしたな。
流石に伸びて散髪に行った時に高校生?って聞かれて間違えて、はい。って言っちゃって高校生料金で髪切っちゃったあとずっと複雑な気持ちになってたな。
夕方から朝まできのこ帝国聴きながらじっと体育座りして月見てなんか涙流してたな。
深夜のテレ東の電波テスト?のあんま売れてないバンドとかのMVがひたすら流れる番組観てて、ボソボソ売れる。売れない。とか言ってたな。
おじいちゃんのナポリタン美味かったな。
模試受ける時現役の高校生が楽しそうに話してるの見てなんか微笑んでたな。キモいな。
なんかマジで一瞬プロ野球選手になろうと思って朝6時くらいに起きてランニングしてたな。
あの年のM-1めっちゃ面白かったな。
模試の帰りの電車の中で同じ高校だったやつ対面で乗ってたんだけどめっちゃ目合ったのに気まずくて話さなかったな。
なんかビヨンドが置いてあるバッティングセンター通ってたな。
また大学全部落ちたな。
あの頃に比べれば今はまだましだな。
ジャスト
おとといバイトを頭痛という理由でサボった。
おとといの前日は記憶が曖昧な部分も多々あるくらい飲んでしまったからちょい二日酔いで頭が痛かったのは嘘ではないが、本当は最後に4年生と遊びたくてサボった。
おとといの次の日はバイトに行った。
コロナが流行っているのもあってバイト先の方々にめちゃくちゃ心配された。
体はなんともないけどちょっとは具合悪そうにしないとサボったってバレちゃうし、でもあまりに具合悪そうにしてるとコロナ疑われて出勤しないで!とか言われてお金なくなっちゃうし。
だからちょうどいい具合で働いてなきゃいけなくてむずかった。
バイトが終わってバイトの先輩に声をかけられた。
「お前昨日サボったろ?飲みいこーぜ」
あーらら。
6畳
引っ越して実家を出た。
ワクワクなんだけど、なんか怖い。
怖いけどホームシックまではいかない。
すごい変な感じ。
いつ慣れるのかな。
まだ自分の部屋とかトイレとかお風呂も他人ん家感が否めない。
部屋段ボールだらけだったけどめっちゃ片した。
明日資源ゴミ。
起きなきゃ。
まだ冷蔵庫がない。
洗濯機もない。
明日買いに行く。
後期の単位大丈夫で本当に良かった。
1年生の同期ライブ面白かった、全組すごかった。
サイダーガールのナイトクルージングと化物。
寝よう。
グローバル
この前のバイトで疲れていたのもあって少し騒がしいお客さんにめんどくせっていう感じの表情で接客してしまった。
そのお客さんはおそらく東南アジアのどこかの国から来た6人ぐらいの家族だった。
その家族の中の僕より少し年上くらいのお兄ちゃんが僕にそのことをカタコトの日本語でめちゃくちゃ追及してきた。
「おれらが外人だからお前バカにしてんだろ」とか、「お前これ立派な接客業だろ?ホテルとかと同じだよ?ちゃんとしろよ」とか。
もちろんそんなことは思っていない。でも疲れていたとはいえ、これは完全に僕が悪いので「自分に大変な落ち度がありました。本当に申し訳ありませんでした。」と言った。
そしたら「何言ってるか分かんないけど、言い訳すんな!ちゃんと謝れ!」と言ってきた。
接客業って単語知ってんのに「申し訳ありませんでした」が分かんないのかよ。逆に面白くなってきてしまった。
謝ったので、もうどうしようもないからぼーっと立っていると「I'm sorry と言え」と言ってきた。日本語と英語がまぜそばになっている。美味しい。
震えながら僕は「I'm sorry…」と伝えた。
彼はサングラスを買って行った。
内見
この前友達と内見に行った。初めての内見だったからちょっと緊張した。なんちゃらハウスに行って希望の条件を伝えて、さあ内見ってなってなんちゃらハウスの車に乗り込んだ。勝手に心の中で内見中は不動産屋の人はめちゃくちゃ住むあたりの話をいっぱいしてくれるもんだと思ってたから、雑談が
不動産屋「2人は地元近いんですか?」
僕ら「いえ…」
だけで終わるとは思ってなかった。ずっと気まずかったぁ。内見てあんな気まずいんだね。
結局2つ物件見に行ったけど気に入らなくて、次の不動産会社行こうとしたらどの物件見に行くんですか?って聞いてくるからその不動産会社の自社物件ですって言って一応その不動産屋の人に次に行こうとしてる物件の写真見せたら「あ〜、これ。別の会社行かなくても僕が紹介できますよ。」って言ってきた。それだったら手間がかからなくて良いやって思って、なんちゃらハウスに戻って調べてもらったら「あ、やっぱり無理ですね。」って。
東京03のスマイルハウジングの角田かよ。
結局次の不動産屋に内見お願いしたら15秒くらいで部屋決まって申し込みした。最初のなんちゃらハウスは丸一日使ったのに。
角田ぁ、、頑張れよ。